ここ数年、愛着というテーマでアメブロを書いてきましたが、愛着が心の成長にとても重要でかつ子どもの心の成長に不可欠なものであるかが、だんだん世の中に知れ渡ってきたことはとてもうれしいことです。教育現場や保育・子育ての問題だけではなく、人間関係や恋愛、結婚、仕事、健康に至るまで、愛着というテーマで見ていくと非常にわかりやすく、問題解決も愛着、つまり心の安心安全基地〈セキュアベース〉という視点で考えていくと合点がいきます。

今日は愛着というテーマを掘り下げて、愛着を構築することがいかに人生のあらゆる場面で重要なのか?を書いてみます。

目次

心の安全基地・セキュアベースと愛着の問題

イギリスの心理学者ボウルビィによって発見された愛着理論ですが、愛着とは人と人とを絆で結ぶ能力のことをいいます。一言で愛情という絆と呼んでもいいでしょう。この愛着という状態がじつは子どもにとってのセキュアベースです。

多くの子どもはまずは母親や父親に最初に愛着します。その両親が自分のことを受け入れてくれて、自分の不安や恐怖から守ってくれて、自分の感情や感覚に応えてくれて、共感という反応を返してくれると安心します。

この安心安全基地〈セキュアベース〉はまずは子どもがいつでも帰って来られる場所、つまり家族・親・家庭という場がいつも安心できる場所として機能していることが一番ベストなんですね。

だから親子の愛着は子どもにとってのセキュアベース、つまり安心安全基地であり、これがあるからこそ外の世界で冒険し、発達・成長できるという考え方なんです。そして愛着はとくに0歳から3歳くらいまでの親との関係性が特に重要だと言われています。

この頃までにうまく親との愛情関係〈セキュアベース〉が構築されていないと、子育てや養育に困難が生じやすく、また成人するまでに多くの問題を抱えやすいと言われています。とくに虐待や無視、拒否、拒絶、養育放棄、たらい回し、などの親の否定的な態度は深刻な問題となり、その後の子どもの人生そのものを大きく歪めてしまうことになります。

だからすべての精神症状を症状ベースで見るのではなく、愛着ベースで見ていくと合点がいくことが多いのです。全ての心理的な問題を抱える人達に共通しているのは、幼少時からの親子関係が不安定で心の安全基地セキュアベースがなく、人生のあらゆる場面において不安定になりやすいのです。

そうしてみると、やはり心の安全基地〈セキュアベース〉つまり親子関係〈愛着〉が安定しているからこそ、あらゆる人生の重要な場面で自分の能力を最大限に発揮したり、チャレンジができるし、成功をつかみやすいといえます。

では、セキュアベースの土台ともいえる愛着とは何か?について書いてみます。

愛着とはどうやって形成されるのか?

そこで愛着が親との間に形成されるプロセスについて重要なのは、温もりや温かさを感じられる関係性が創られるかどうか?ということです。これが一番重要ですね。とくにスキンシップによって温もりを感じると本能的に子どもは親とのつながりを感じられます。それが安心安全感につながります。将来の人との関わり方、絆の結び方に繋がります。

こどもが不安や恐怖を抱いているときに、泣いて助けを求めたら、お母さんやお父さんが来てくれて抱っこして温かい温もりを与えてくれて、声をかけてよしよしと「そうか、怖かったね、もう安心だよ」と、怖さをわかってくれて、受け止めてくれてはじめて子どもは「自分は怖くても守られている、安心安全なんだ」と確信します。

その次に愛着にとって重要なのは共感性、応答性です。

子どもはうれしいときに、お母さんが「そうかうれしいね!」とにっこり笑って返してくれると、共感してくれて応答してくれていることで、自分が肯定されている、受容されていることを身体感覚で実感します。そうすると安心します。

つまり子どもにとって親は自分の感じていることを「鏡のように返してくれる存在」なのです。だから自分の感情や感覚を鏡のように親が反応して返してくれることにより、自分の感じている感情や感覚を確かめることができ、自分という存在を確認し自分を肯定するようになります。これが親子の関わりにおいて非常に重要なのです。

心の安心安全感がないと人は前に進めない

この「私はいつも受け入れられ、認められ、愛されて、守られている」という感覚が愛着〈セキュアベース〉が機能している状態です。この愛着がないと人生のあらゆる場面、仕事、人間関係、恋愛、結婚、子育て、健康に至るまで大きな悪影響を及ぼすと言われています。

なぜなら、子どもは安全なベースキャンプがあれば、安心して冒険に出かけることが出来ます。もしベースキャンプから外の世界を見てみたい、と、子どもが冒険に出かけたとします。

しだいに辺りが薄暗くなってきて、不安になっても、のどが渇いて、お腹が空いていても、ベースキャンプにもどってくれば、お母さんが「よく帰って来たね。冒険してきたんだね。」と抱きしめて温かいスープを出してくれたら、子どもはとてもうれしいでしょうね。

そして冒険で出会った動物や外の世界を嬉々としてお母さんに語るに違いありません。さらには次のチャレンジへの期待に胸を膨らませ、今度はもっと遠くにまだ出会ったことのない人や世界を見てみたい!とさらに大きなチャレンジに向かえるようになるでしょう。

そうやって子どもはますます遠くへ難易度の高い挑戦をし続けるに違いありません。そうして子どもがますます逞しく成長していけるのも、すべては不安や恐怖を感じたときにいつでも帰ってこれる心の安心安全基地〈セキュアベース〉がしっかりと機能しているからなのです。

セキュアベースが安定すれば人生も安定する

このセキュアベースが機能しない家庭や両親に育てられた場合は、子どもはいつも空虚感や不安感でいっぱいです。いつも安心安全感が不足しているので、外の世界に出て他の子と関わることは不安で怖くて、冒険や未知の世界などにチャレンジすることは恐怖以外の何物でもありません。

だからこの心の安心安全感〈セキュアベース〉がそもそも安定していないと、子どもは成長にブレーキがかかりやすく、また予測不能な事態に陥ることが恐怖で、人の言うことだけ聞いてお利口さんのいい子になって指示をもらっていれば安心、自分で好きなように自由に選ぶことに恐怖や不安を覚えるようになります。

不登校やひきこもりやうつ状態もこのセキュアベースとしての家庭が不安定な状態であればあるほど、問題が深刻化しやすいといえます。だから夫婦関係って、将来の子どもの人生の方向性を決めてしまうわけで、ものすごく大事なんですよね。

では、大人になってからのセキュアベースって作れるのですか?という疑問を感じるかと思いますのでそれについて説明します。

セキュアベースや愛着を再構築ってできるんですか?

できます。子ども時代に築けなかったとしても、大人になってから再構築するのは十分に可能です。両親は年老いてその役目を負わせることはもう難しいでしょうが、じつは親友や愛するパートナーや周りの人との信頼関係を築くうえで、その人が自分にとってありのままを受け入れてくれる人であれば、その人との間に愛着関係が生じます。

でももし、私にはそのような愛着関係に相当する人が周りにいない!という場合も大丈夫です。

実はこれが、心理カウンセラーや心理セラピストですね。
悩みを受けとめてもらい傷が癒されていく場合と、セミナーや同好会などで知り合った仲間と関わるうちに本音で関われて裏切られないという強い信頼関係を結ぶ、という体験をしていくうちに、愛着の心の傷が癒されてくる場合がよくあります。

だから自分は愛着の心の傷をたくさん抱えているという場合も心配はいりません。愛着はいつからでも再構築することが可能なのです。但し、あくまでそれは「自分が変わりたい、人と親密になりたい、人と関わりたい」と思えば、の話しですが。。

愛着の傷が徐々に癒されてくると、今まで感じていた恐怖や不安や空虚感や無価値感がうそのように消えてしまいますから、今まで問題だと思っていたことが問題ではなくなります。そうなるためには、まず自分の心の中にセキュアベースを構築できるように意識を向けてみるといいですね。

あくまでセキュアベースは他人から愛されること、ではなく、自分の心の中に「私は安心して好きな人に近づいて愛してもいいし人を受け入れてもいい」という安心感を育てていくことが重要です。そこに意識することが大きなポイントですね。

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